細胞診に関して

細胞診で乳腺腫瘍の良性・悪性は判別できるか。

イヌの乳腺腫瘍では、細胞の異型性と臨床的な悪性度が一致しない場合があり、細胞診で個々の細胞形態を観察しただけでは正確な悪性度の評価は困難で、組織検査によって腫瘍細胞の増殖形態、浸潤性などを併せて総合的に判断する必要があります。しかし細胞診も一定の検査意義はあり、良性の可能性が高いか、悪性の可能性が高いか、あるいは腫瘍の可能性が高いか、否かという評価は可能です。なお、細胞異型性が強く出る高悪性度の乳癌であれば細胞診のみでも確定的な診断を出せる場合があります。

細胞診で悪性リンパ腫疑いという結果が返ってきた。どうしたら確定できるか。

採取細胞が少ない、あるいは壊れた細胞が多く判断が難しいがリンパ腫が疑われるという場合には、状態の良い細胞が十分量得られれば確定できる可能性が高いため、再度の細胞あるいは組織の採取、再検査依頼をご検討下さい。また、高分化型のリンパ腫など、十分量の細胞が得られていても細胞診のみでは確定診断が難しいタイプの病態も存在しますので、その様な症例の場合には病理組織検索、あるいは遺伝子検査によるリンパ球クローン性解析が推奨されます。

 肥満細胞腫疑いとの結果だった。肥満細胞腫でも細胞診で確定できないことがあるのか。

中等度~高分化型相当の肥満細胞腫であれば、腫瘍細胞内の特徴的な顆粒を確認できるため、基本的には確定診断が可能です。ただし、分化した型の肥満細胞腫でも、採取細胞が著しく少ない場合、あるいは細胞の状態が良くない場合には確定診断が下せないことがあります。また、分化度の低い肥満細胞腫では腫瘍細胞内の顆粒が観察しにくくなったり、典型的な肥満細胞とはかけ離れた細胞形態を示す場合もあり、低分化なリンパ系・組織球系腫瘍など他の悪性腫瘍との鑑別が難しくなることがあります。

血液塗抹で白血病やリンパ腫の診断は可能か。

血液中に未熟な芽球様細胞が多数観察できるような進行した状態となった場合、その細胞形態、およびペルオキシダーゼ染色(未固定未染色標本が必要)も併せて評価することで、ある程度疾患を絞り込むことは可能です。ただし、血液塗抹の観察のみでの確定診断は難しい場合が多く、白血病や悪性リンパ腫の診断には、末梢血中の血球数や、リンパ節など諸臓器における原発性腫瘍の有無などの臨床的な情報、および骨髄検査等も含めた総合的な評価が必要となります。

細胞診で細菌や真菌などの菌種は同定できるか。

クリプトコッカスやマラセチアなど一部の菌種に関しては同定が可能ですが、詳細な菌種の同定には基本的に培養検査が必要となります。