悪性リンパ腫の化学療法について

お世話になってます。この度、摘出脾臓の病理を依頼した子ですが、ちょうど1週間前、20日に脾摘をし、塗抹を見ながら血小板数が回復し、食欲も出てきたので25日に返したのですが、下顎リンパ節左右とも、右の膝窩リンパ節がかなり腫大していました。 抜糸のときに、吸引もして、塗抹も確認し、胸の写真も撮ろうと思いますが、うちだと、まずアドリア単剤が基本というか、それしかやったことがないのですが、病理の上でこれだと、この抗がん剤の方がいいかもとか、初めからカクテルでいった方がとか、あるいは、すでに直接の浸潤があるなら抗がん剤よりは、QOLを考えた方がいいとか、アドバイスがあったらお教えください。

お世話になっております。

脾臓で見る限り、構成する細胞の異型性から、中間グレードの悪性リンパ腫と考えられます。薬剤投与による治療効果がある程度期待できますが、全身のリンパ節の腫大が来ていることから、恐らく血中にも出現し、ステージ4にすでに進行していると考えられます。

多剤併用化学療法は、一般論として、寛解率の向上や期間の延長が期待できますが、副作用の危険性と経費が増えます。

今回の症例は、縦隔の状態にも左右されますが、ある程度の寛解の可能性はありますが、化学療法にはかなり進行しており、クライアントの意向もあるかとは思いますが、QOLを考えるのが一般的と考えられます。

病理の立場として、具体的な薬剤名をあげたおすすめはできない場合が多いのですが、今回の症例については、どう治療されてどんな成果が得られたかなど、予後のデータもできればご教示いただければ幸いです。 今後ともよろしくお願い申し上げます。

依頼者様からの返信

オーナーにインフォームドを取ったところ、こちらが思っていたより冷静に受け止め、可能性があるならということと、今、食欲があるのに下顎リンが大きいせいもあって(と思われる、)食べられない状態を何とか改善したいということで、抗癌剤を行うこととしました。

ヘマトが33%とまだ低いものの、4.5だったTPも6.1まであがり、再生像が見られ、また、末血には腫瘍細胞らしきものが見当たらなかったのと、胸のレ線にも異常を認めなかったので、アドリアの単剤をはじめました。 予測された副作用は、さほどではなく、また3日目よりリンパ節の縮小が見られ、4日入院のあと帰り、ちょうど1週間目の水曜、(6日)血液を見せてもらいました。その結果、白は約7万から約3万に下がり、蛋白は維持されたのですが、ヘマトが21%まで落ち、ついでに体重も減ってしまいましたが、食べられていてリンパは、片方の下顎は、殆ど触れないくらいになりました。 アドリア入れた日から、隔日でEPOを使ってましたが、1週間過ぎたら、土曜からでもまた使おうかと考えています。 問題は、再燃のときだというのは、わかってますが、今のところ、よく反応し、強くは副作用も出てないので、3週間ごとのプロトコールをやっていこうと考えています。

こちらからの返信

メール拝見いたしました。

目に見える症状の改善があり、まずは思惑通りだったことが先生の文脈から伝わり、安心しています。後は副作用に注意されて、プロトコル通りに進められることと思います。先生のご経験でも充分ご承知されていることでしょうが、投薬を漸減して中断するタイミングでは、畜主とのコンタクトが最も要になると思います。 特定の製薬会社とのタイアップなどはしない方針から、具体的な薬剤のお勧めはできない立場にありますが、貴重なfollow upメールありがとうございました。 今後ともよろしくお願い申し上げます。

依頼者様からの返信

いつもお世話になってます。早速の回答、ありがとうございます。また、文献は、うちにあるものより新しいので大いに参考になりました。やはり、ステージが大事なのですね。 症例の子も、インフォームドをとって、検査の後、多分抗癌剤治療を選択されると思います。(嚥下困難が出始めているので)今後とも、よろしくお願いいたします。

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