遺伝子検査について

イヌの皮膚肥満細胞腫でPatnaikⅡ型、Kiupel低グレード、マージンクリア、脈管侵襲なしであった。c-kit遺伝子変異検査はやった方が良いか。

分子標的薬の基本的な適応症例は組織学的な悪性度が高いタイプの肥満細胞腫ですが、低グレード相当の肥満細胞腫であっても悪性腫瘍であることは変わりなく、転移・再発リスクを否定することはできませんので、遺伝子検査により薬効予測を立てておく意義は充分にあると考えられます。

 c-kit遺伝子変異検査で結果解析が不可能なことがあると聞いたが、どれくらいの割合か。

当社の集計ではイヌのc-kit遺伝子変異検査での検査不能割合は1.3%となっており、ネコでの検査不能例は現在までのところ認められていません。検査不能の主な要因としては長期間のホルマリン固定によるDNAの断片化などが挙げられます。

c-kit遺伝子変異検査において、陽性箇所の違いは治療薬選択や予後に関係するのか。

肥満細胞腫の場合、イヌではエクソン11陽性例で高い確率で著効を示し、ネコではエクソン8陽性例で高い確率で著効を示す報告があります。イヌではエクソン8、9、ネコではエクソン9の陽性例の大規模な調査は行われていませんが、著効報告があり、いずれかの箇所が陽性を示す場合には各分子標的薬の効果は期待できると考えられます。

肥満細胞腫c-kit陰性例。薬は効かないと判断して良いのか。

著効が見込めるとは言えない結果となりますが、陰性例でも分子標的薬への反応性を示す症例は少なからず存在するようで、そのような症例の場合は検出できない遺伝子部位に変異がある、もしくは未知の作用機序によるものと考えられています。

細胞診で悪性リンパ腫と診断された。T細胞性かB細胞性か鑑別するにはどうしたら良いか。

十分な細胞量が得られている場合には、塗抹標本を用いた遺伝子検査による鑑別が可能です。また、組織を採取あるいは摘出される場合には、病理組織標本の免疫染色による鑑別も可能です。塗抹標本で免疫染色を行うこともできますが、その場合は当社販売の作製キットで専用スライドを作製して頂く必要があります。追加の検査、あるいは詳細な情報をご希望の場合にはご連絡下さい。

 塗抹標本からの遺伝子検査は可能か。

十分量の細胞が得られている場合には、塗抹標本からの検査が可能です。検査項目となるのはリンパ球クローン性解析(イヌ・ネコ)を始めとして、ヘモプラズマ(旧ヘモバルトネラ:ネコ)、バベシア(イヌ)、アリューシャンミンク病パルボウイルス(ADV:フェレット)などの感染症の検査です。また、十分な細胞量があり、かつ全有核細胞のうち腫瘍細胞割合が50%以上であれば、肥満細胞腫のc-kit遺伝子変異検査も可能です。