皮膚形質細胞腫のことでお教え下さい

趾端部に発生した「皮膚形質細胞腫」のことでお教え下さい。 実はこの症例は切除生検する前に他の検査センターで細胞診を行い、中間型リンパ腫と診断されていたのですが、何となく合点が行かず、そちらでの病理検査をお願いした次第だったのです。切除生検した上下に再発してきたのですが、それ以外に左膝下リンパ節部も腫大してきております。骨髄病変認めず、モノクローナルガンモパチィなし、Bece-Jones蛋白検査してません。

局所再発は予想していたのですが、遠隔転移?は考えられるのでしょうか?切除生検後、切除部下部が肉芽形成して出血、痂皮形成を切り返し皮膚癒合しておりません。リンパ節の生検をすれば、はっきりするのでしょうが飼い主が再検を承知しないので、行えない状態です。

リンパ腫の可能性は否定して良いのか、再度ご返答下さい。宜しくお願い申し上げます。

お答えいたします。

細胞診で皮膚組形質細胞腫を鑑別するには熟練を要し、そのときの細胞の状態にもよりますが、悪性リンパ腫に見える場合があります。本症例では、特殊染色(メチルグリーンピロニン染色)も加えた病理組織検査の結果から、悪性リンパ腫は否定できます。

膝下部の腫大は、炎症性のリンパ節腫大もしくは形質細胞腫の転移のいずれかと考えられますが、検査してみなければ特定できません。リンパ節腫大をみることから、多発性骨髄腫の可能性が否定できませんので、尿蛋白はぜひご精査下さい。

依頼者様からの返信

良性形質細胞腫でも転移はあるのですね?単クローン性高γグロブリ血症がなくても、B-J蛋白を調べるべきでしょうか?

こちらからの返信

皮膚病変に限局する病巣のみの場合には、良性と考えられ、転移の可能性は低いとされています。多発性骨髄腫(悪性の形質細胞腫)の場合には、実質臓器にも転移巣が形成される場合もあり、皮膚などで局所再発以外での多発性の病巣が形成される場合には、原発巣が骨髄と考えられ、この場合は悪性と分類できます。血中のγグロブリンの上昇がない場合でも、念のためですが、尿中の蛋白を調べられたほうがよいと思います。

また、まれではありますが、骨髄病変を形成せずに、腹腔内の諸臓器(消化管やリンパ節)に多中心性の病巣が形成されるタイプの形質細胞腫からの転移巣である場合もありますので、腹腔内諸臓器も併せて精査する必要があります。

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