骨組織の病理組織検査は、診断率が低いと聞きますが?

骨組織の病理検査では、以下の理由で、なかなか確定診断を得られないことが多いと言われています。

  1. 脱灰操作によってアーティファクトを受けやすい。
  2. 病理に提出される材料が量的・質的に限られ、僅少な組織切片の場合が多い。
    ※ できるだけ多くの部位から、たくさん採っていただきたいです。
  3. 外傷、炎症、腫瘍などの病変に際して、骨の破壊、吸収、新生といった複雑な変化を呈しやすい。
    ※ 正確な臨床情報が必要です。特に「時間経過」。
  4. 正確な採取部位が分からないと、仮骨でも骨肉腫にみえたり、隠れた真の病変を見逃す危険がある。
    ※ X線写真のコピーが添付され、採取部位がマークされていると参考になる場合が多いです。

アメリカの高名な骨病理学者は、「X線写真のない骨病変の症例が送られてきたら、病理診断を拒否する」とまで言われています。

私も、骨の検査では悩ませられることが多く、また、特に骨病変に限ったことではありませんが、依頼書が空白のままにして送られてくると本当に困る場合があり、多忙な臨床の先生に電話しなければならないこととなります。

臨床病理検査とは、病理の独断で診断するのものでは決してなく、「臨床と病理共同で診断していくもの」と考えています。
お互いに信頼しあい、飼主の協力も不可欠ですが、納得できるまで検査ができれば、きっと真の診断が得られるものと確信しています。

依頼者様からの返信

大変納得いたしました。

どうしても、臨床家は組織を送れば下手な情報を送るよりも診断できるのではないかと思い、今まで申し訳無かったと痛感しています。

よくレントゲン写真を読影するときは、まず、情報を全く入れないで読まなくては練習にならないので、そのようなものだと思っていました。これからはきちんと臨症経過と、取った部位等の情報を丁寧に入れるように心がけます。

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